今回は生徒さんからの質問も多い『ベルティングボイス』から説明していきます。
まずベルティングを説明する上で大切なのがボイトレの歴史になりますので
簡単に説明していきます。
ボイトレ (声楽トレーニング) は、古代ギリシャやローマ時代には既に存在していましたが、中世になると教会音楽において特に重要な役割を果たすようになりました。
16世紀から17世紀にかけて、イタリアのオペラが発展するにつれ、声楽家たちはより高度な技術を必要とするようになりました。この時期には、ボイトレの技術も発展し、より緻密で科学的なアプローチが取り入れられるようになりました。
18世紀には、イタリアの声楽家マンマーニがボイトレの技術を研究し、自身の学校を設立しました。彼の影響力は非常に大きく、多くの有名な声楽家が彼の下で学んでいきました。
19世紀に入ると、フランスの声楽家ランベールがボイトレにおいて息の使い方を重視する「呼吸法」を提唱し、声楽界に大きな影響を与えました。また、イタリアの声楽家ガルデッリも自身のボイトレ法を確立し、多くの声楽家が彼の下で学びました。
20世紀に入ると、アメリカの声楽家セスマンが科学的なアプローチを取り入れたボイトレ法を開発し、それが広く普及しました。現代のボイトレ法には、これらの影響が反映されています。
次に一般的言われている。ベルティングの説明を確認してみましょう。
ベルティングボイスとは、ポピュラー音楽においてよく用いられるボーカルスタイルの一つで、力強く、パワフルな歌声を出すために用いられる歌唱技術です。一般的には、比較的高い音域で歌われ、強いエネルギーを持った歌声を出すことが特徴です。
ベルティングボイスは、胸声を強く使い、声帯を開いて大きな声を出すことで、力強く、パワフルな歌声を出すことができます。一般的には、高い音程で歌われることが多く、ロック、ポップ、ジャズ、ブルースなど、様々なジャンルの音楽に用いられます。
それではここまでボイトレの歴史やベルティングについて説明しましたが
ではベルティングとはなんなのかを詳しく説明していきます。
結論から言うとベルティングは地声の高音発声の事なんです。
え!?と思う方も多いと思いますが。w
では何故このような名称がついているのかを説明していきます。
まず、先ほど歴史を見て頂いた通りボイトレはそもそも
声楽から生まれたものであり、声楽の発声技法が元になり説明されている事が多いのです。
声楽というのはポップ系の現代音楽と異なり
男性は低音(地声)、女性は高音(裏声)とハッキリとパート分けされている事が多く
男性も女性も地声で高音域を歌う事がなかったのです
ただ、近年ミュージカルなどが流行りその影響で
男性も女性の地声の高音域を使う事になり
それに後から名称を付けようと
付けられたのが『ベルティングボイス』なんです。
そう、、ということは簡単に言ってしまえば地声の高音発声の事なんです。
現代のポピュラー音楽は全てこのベルティングボイスを使っていると言う事です。
ただ、ここで問題なは声楽派とポピュラー派で
発声の名称や認識が違うと言う事です。
これが今ボイトレをややこしくしている原因なんです。
ではまず下記をご覧ください。
『声楽』 地声→裏声→閉鎖の強い裏声(ミックスボイス)→地声の高音発声(ベルティングボイス)
声楽のミックスボイス👇(0:19)がわかりやすい。
『ポピュラー派』地声→裏声→閉鎖の強い裏声(ヘッドボイス)→地声の高音発声(ミックスボイス、地声発声)
(ヒゲダン、ONE OK ROCK、B,z、Adoさんなどなど現代の音楽)
この通り、認識のずれがある為
みなさん言っている頃がバラバラで何が何なのか混乱してしまう原因になっています。
声楽上がりの方は地声の高音発声をベルティングと呼び
ポピュラー上がりの方は地声の高音発声をミックスボイスや地声発声と呼びます。
これらの理論がネットや書籍など混同している為
さらに混乱を招いています。
このように、始めに説明した通り
ベルティングは地声の高音発声である事がわかります。
現代は情報量が多く様々な情報が出回っているため
混乱して変な練習をしてしまう人も多いですが
こちらを参考にもう一度情報を整理してもらうと
自分に合った練習法も見えてくると思います。